2021年「中国式離婚」新方式へ

離婚率は年々増えている

かつては、「結婚」は人生最大と言ってもいい大クライマックスで、それに対して「離婚」はというと、どこか落伍者のような後ろめたさを感じさせる行為でした。

ところが、近年中国では、いや日本でも、結婚してすぐに離婚するカップルが増える一方です。

実際のところ、世界ではどのくらいの割合で離婚が発生しているのでしょうか?

総務庁によるこちらの資料を参照すると、概ね2017年前後の実情を把握することができます。

そして「離婚率」を「婚姻率」で割ることによって、実際にどれだけの夫婦が離婚に至ってしまうのかという割合を計算することができます。

日本 34.7%
韓国 41.1%
アメリカ合衆国 36.2%
フランス 54.3%

と、こういう結果になります。

何と、日本では「3組に1組のカップルが離婚している」というのは厳正な事実だったのです。

それより上を行くのが、お隣韓国、そしてアメリカ、さらにフランスに至っては50%を超えており「離婚せずに済むカップルの方が少ない」というのだから呆れます。

では中国はどうなのかというと、資料によりバラツキがあるようなので、こちらの人民網日本版の資料を参照します。

これによると、なんと、中国の離婚率は年々上昇し、2018年には38%ものカップルが離婚しているようです。

そういう世相を反映してか、中国では「離婚」「再婚」をテーマとしたドラマが多いように感じます。

たとえば、「中国式離婚」

こちらは、優秀な医者の結婚生活の軋みと、家庭崩壊を追ったシリアスな作品

あるいは「我的前半生」

上海のトップビジネスマンの間で繰り広げられる愛と奮闘の物語で、冒頭から主人公夫妻の離婚(原因は夫の不倫)でスタートする長い物語です。

両方とも、誰もが憧れるハイクラスな層に属する人たちを中心に描いており、豊かさの代償として起こってくる社会問題として取り上げられている面もあると思います。

2021年初頭より、離婚制度が大きく改められる

さて、年々増える一方の離婚率に歯止めをかけようと、中国政府は離婚制度の改革に乗り出しました。

こちらの記事を参照します。

离婚冷静期来了!明年1月1日起,婚姻登记将有新变化!(腾讯网)

要旨は

  • 離婚の申請には30日間の「冷静期(冷却期間)」を設ける
  • さらに30日間の猶予を持たせ、その間に離婚申請を取り消すことができる
  • 計60日の期間を経て、審査を通れば、やっと正式に離婚成立

細かい手続き等が記されていますが、概ねは以上です。

離婚に「クーリング・オフ(冷却期間)」??

ここに「冷静期」とありますが、要するに離婚までハードルを高め、「冷静期=冷静になって考える期間」を強制的に設けて思い留めてもらう、を制度化したものと言って良いでしょう。

ちなみに、日本の制度はどうなっているかというと、両者の合意に基づく離婚(協議離婚)であれば、離婚届を出すだけで成立します。

懸念される点

もちろん、このような大胆な制度改革に対しては賛否両論が出ています。

原文を引用します。

设置离婚冷静期

可以有效避免夫妻之间

因为冲动而离婚的情况

「冷却期間」を設けることによって、衝動的に離婚してしまうことを避けることができるでしょう。

但也有很多网友认为

如果存在家暴的现象

那离婚冷静期的设置

是否会使受暴者遭受更大的伤害?

多くのネットユーザーは、もし家庭内暴力(DV)が存在していた場合、冷却期間を設けることによって、さらに大きな被害を受けてしまうのではないかと危惧しています

对此

全国人大常委会法工委曾回应称

离婚冷静期制度

仅适用于协议离婚的情况

对于因家暴而要求离婚的

一般通过起诉解决

これに対し、全国人大常委会法工委はかつてこう回答した

「離婚の冷却期間制度は、協議離婚の場合にのみ適用されるものであり、家庭内暴力(DV)が原因である離婚に対しては、一般的に訴訟によって解決することになる」

というわけで、この新しい制度はあくまでも両者の同意による「協議離婚」を対象にしたもので、DVや不貞その他深刻な問題による調停離婚は従来通り裁判所で扱われるようです。

「冷却期間」制度化による影響・効果

私は中国人の結婚事情には詳しくありませんが、こうした「冷却期間制度」の設置は人間の本質を捉えた良いアイデアだと思っています。

結婚離れに悩む日本政府も検討するに値する制度だと思います。

ただし、離婚が抑えられる(=離婚を思い留まる夫婦が増える)一方、こうした面倒な手続きを懸念し、結婚に対して二の足を踏んでしまうカップルも増えてくるのではないかと想像できます。

そうすると、必ずしも離婚率が下がるという事にはならなくなってしまいます

そこで、全く私的な考えに基づくものですが、勝手な提案があります。

以下、勝手な提言・・・

「冷却期間」という言葉は、通販などで使われる「クーリング・オフ」という言葉の訳語です。

つまり、一旦購入した商品を、理由にかかわらず返品することが出来る、という制度です。

今回の中国の新しい制度は「離婚」について定められていますが、日本にこうした制度を導入する場合、「クーリング・オフ」を「離婚」のみならず「結婚」に対して適用すれば良いのではないかと思っています。

要するに、本当の意味での「クーリング・オフ」です。

つまり、結婚後一定の期間(30日とか60日とか、はたまた半年とか1年とか)であれば、取り消しをすることが出来、戸籍上も残らない(つまりバツ1やバツ2が付かない)という制度はどうでしょうか?

おそらく、離婚に至るまでの致命的な問題点は、はじめのうちに露呈してくるはずなので、離婚をある程度未然に防ぐことが出来ると思います。

さらに、今時この程度のことで社会の落伍者のように見られたり、後ろ指を刺されたりするのは不合理なことなので、一定の猶予期間を経るまでは戸籍に記載しない、という法改正も必要になります。

日本の場合、婚姻に関わる法令は、明治時代に定められた民法がベースになっているので、当然時代には合わなくなっています。

現状に合わなくなってきた制度は改革すべきだと思いますし、こうした際に諸外国の例を良く研究、観察していく必要があるのではないでしょうか?

そういう意味では、今回の「離婚冷却期間制度」は注目に値するものだと思っています。

単語帳

冷静期 lěng jìng qī 冷却期間
※中国語辞書にはこの言葉はなかったので、現代用語だと思われます
引发 yǐn fā 引き起こす
引发讨论|議論を呼ぶ
という形で使われていました
贯彻 ɡuànchè 貫徹する、徹底する
此外 cǐ wài これ以外に〜
本文は、
首先~其次~此外~
の構文で使われていました。ここを正確に読み取れず、記事の内容の手続き期間を誤解してしまったので、自戒を込めて紹介します。
审查 shěn chá 審査
冲动 chōng dòng 衝動
家暴 jiā bào 家庭内暴力(DV)
遭受 zāoshòu 被害を受ける
协议离婚 xié yì lí hūn 協議離婚
日中同義語です
起诉 qǐ sù 起訴、訴訟を起こす
日中同義語です
※全然関係ないですが、中国語の「訴」(sù) と 英語の"sue"はほぼ同じ発音の同じ意味(偶然)

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