同じ一つの漢字をとってみても、中国語と日本語とではほとんどの場合、字音が異なります。
字形(文字の形)と字音(文字の発音)について
字音のよく似た例が全くないというわけではありませんが、その場合は、その漢字が日本に伝来したときの字音が中国の現代語にも残っているためで、大半は現代語に至るまでに中国の字音が変化しているということのようです。
例えば、「子」 という字を日本語では、餃子(ザ)、帽子(シ)などと読み分けるが、それぞれの品物が日本に入って来たころの中国の字音を反映したもので、餃子の 「ザ」 は現代語の方言音を反映しているとの事だそうです。
「ピンイン」 とは?
一つ一つの字が一定の意味をもっている文字のことを 「表意文字」 と呼びます。
また、音声を表す文字と意味を表す文字を組み合わせて、新しい意味を表す漢字のことは 「形声文字」 と呼ばれますが、これは、「偏(へん)」 と 「旁(つくり)」 から構成されていて、前者は意味を、後者は字音を示しています。
たとえば、晴・清・精・請などの漢字は、いずれも「青」が字音を示しているという事です。
形声文字は漢字全体から見ると、80パーセント以上を占めているということですが、アルファベットを使う場合とは異なり、ある漢字から字音を正確に知ることはできません。
そこで発音を表す目的でローマ字が登場するわけですが、
現在、大陸で広く用いられているこのローマ字のことは、「ピンイン」 と呼ばれています。
このピンインは、日本人が学校で先ずカナを習って漢字を覚えていくのと同様に、中国人も学校でまずピンインを学習するそうです。
但しこのピンインは、中国人自身のためのものであって、日本のローマ字のように外国人に読ませるためのものではない為、「中国式ローマ字表記」となっています。
従って、私たちが慣れている英語や日本語のローマ字とは異なり、特に入門者などはこのローマ字を英語式に読んでしまう人が多いので十分に注意が必要です。
ISO(国際標準化会議)においても、この中国語ローマ字表記法を公認していますが、単語の分かち書きなどの規則を含めた 「正書法」 と呼ばれるものがまだ確立していない為、漢字の代わりにこのローマ字だけで全ての中国語を標記することは出来ません。
同字同形には特に注意が必要!
日本人の使っている漢語のすべてが中国からの借り物ではありません。 なかには日本から中国に逆輸入されたものもあるそうです。
例えば第2次大戦中に、「取締」 や 「御用」 などの和製漢語が中国語に加えられているということです。
近年では日中関係が緊密になってきた為、「美容」 や 「料理」 など中国語に取り入れられる語が増えてきているそうです。
これらの漢語を含め、日中双方で同字同形の語彙を用いる例が多数ありますが、このような日中同字同形語こそ、中国語学習者がうっかり落ちてしまう落とし穴なのです。
例えば、テレビのクイズ番組にも出題された事がありますが、「老婆」 と書いて女房、「麻雀」 と書いてスズメといったものなどがその例です。
特に中国語を日本語に訳す場合などは、辞書も引かずに日本語の訓読みだけで判断するということは避けなければなりません。
中国語と日本語の訓読みとでは大きな隔たりがありますので、同字同形で、そのまま読めるような漢字ほど、しっかりと辞書を引くべきでしょう。
以下の動画で、「日本語と同じ漢字で意味の違う単語」 について解説していますので参考にして下さい。